心からのお礼にお茶でも一杯ということでお呼ばれにあずかった。
部屋はそれなりにキレイに整理整頓されており、猫の爪研ぎの位置と洗濯物以外は完璧だと思った。
干しっぱなしの洗濯物の中にいくつかTバックがあり、見ないようにするのに必死だった。
あぁ、人妻風俗嬢の仕事で使うんだろうなと思った。
でも、彼女はそれに気付いていないのか、僕の前でコンタを抱きかかえながら楽しそうに喋っている。
彼女はイラストレーターを目指しているらしく、なんと僕と同い年だった。
これには正直驚いた。
ムッとされたが同い年には見えないほど、彼女は落ち着いていた。
僕なんてただの平社員なのだ。
何かをやりたい気持ちがあるというのはすごいと思う。
そしてやっと彼女は洗濯物に気付いてくれた。
早くしまってくれ〜と思ったところで、あれが出た。
「マジゲロマズ」
そう言いながら、彼女は恥ずかしそうに洗濯物を見えないようにしまってくれた。
思わず僕は吹き出してしまった。
彼女は不思議そうに僕をみて、何故か僕に調子を合わせ笑っている。
僕はマジゲロマズって面白いねといい、本当のことは言わなかった。
すると彼女は罰の悪そうな顔で、
「これ聞かれるの2回目だね」と僕を見て苦笑いを浮かべている。
そうだねと答え、また二人で一緒に笑った。
とにかく今日、一緒にご飯を食べたいと思っている。
コンタ〜!コンタ〜!
ひたすらコンタと叫ぶ声。
僕はコンタに帰りなさいと伝えたが、コンタは眠いのか僕が見えていないのか無視された。
そのうち自力で帰るかなぁと期待していたが、2分くらい経ったところで諦めた。
コンタの名前を呼ぶ声がだんだんと涙声交じりになって来たからである。
コンタを抱きかかえ、隣の部屋のインターホンを押す。
聞こえなかったが舌打ちをする音が確かに聞こえた。
不機嫌そうな声で返事が返ってきて、僕は愛想笑いの顔をつくるのに必死だった。
ドアが開き、ドスの利いた声で「はい」と聞こえた。
今だから言えるが、あのとき少し漏らした。
そして人妻風俗嬢はコンタを見ると慌てて抱きかかえ、コンタの頭をひたすらもみくちゃにしていた。
もう事情を話すのも憚られるので帰ろうと思い、その場を立ち去ろうとすると呼び止められた。
人妻風俗嬢の話によると、年に一回どこかのタイミングで脱走するそうだ。
どうして寄りにも寄ってとなりの僕の部屋にきたんだろうか。
というわけで、僕は今、人妻風俗嬢の部屋にいる。
そこで姫路人妻風俗での仕事などについても聞かせてもらった。